仕事の知識を増やす恥

20代か30代のことだったと思う。とある会議で分からない言葉「***」が出てきた。確かその当時の最新技術についての専門用語である。私は「***って何のことですか?」と質問した。会議に参加していた年配の40台の技術者が「何だ君は***も知らないのか!」と馬鹿にされてしまった。その40代の技術者の得意そうな顔を今でも思い出す。
仕事の打ち合わせで知らない言葉が出てくると、知っているふりで押し通すか、質問して教えてもらうか誰でも迷うと思う。時と場所に応じて使い分けても良いが、「質問して馬鹿にされる」というのは中々貴重な経験である。質問するのに勇気が要るし、馬鹿にされたらなおさら頭はものすごい勢いで回転して「こんちくしょう」と思う。従って、知らなかった言葉がしっかり頭の中に記憶される。
知らない言葉について質問して「知るは一時の恥」、知っているような振りをして会議をやり過ごし「知らぬは一生の恥」と言う。人生は気取っても始まらない。どうせ恥は山ほどかくものである。知らないことは質問して恥を沢山かいているうちに、周囲が君を見る目が変化してくる。何故か「あいつは知っているくせに質問をする」と周りが考えるのだ。君の知識が増えて後輩が「***って何ですか?」と質問したときには、このように答えよう。「君の質問はなかなか良い質問だ。ところで***は・・・」君は先輩として尊敬されるようになる。

科学ってなんだろう?

多くのかたがたに科学を知っていただきたい、若いみなさんには科学の分野を目指していただきたい、ということが筆者の基本的な考えですが、さて、科学とは、と改めて聞かれると、これは案外、深遠な質問だと思います。
みなさんからの多くのご投稿を期待して、いくつかの質問(問題提起というほど硬いものではありませんが)を書いてみます。こういう質問もある、というご投稿も大歓迎です。
1)科学はいつから始まったのでしょうか。
2)18世紀の産業革命のあとから、急速に科学が発達したと思いますが、それはなぜでしょう。(産業革命以降に急速進んだ、というのは筆者の印象ですが、それ自体は正しいのでしょうか。)
3)筆者が知っている科学は「自然科学」ですが、「社会科学」という分野もあります。「科学」の定義、あるいは、「○○科学」と呼ばれている分野の共通点はなんでしょうか。
4)科学と戦争(軍事)、科学と宗教の関係は?(事実として、どんなことがあるのか。思想的なことは、この場の議論には含めないようにしたいと思います。)
5)自然の振る舞いを取り扱う科学と、計算機やデジタル装置のソフトのような自然には存在しないものを取り扱う科学とがあると思いますが、この2種類の科学は共通なのでしょうか、それとも違うものなのでしょうか。

筆者の簡単な答えの一例も書いてみようと思ったのですが、明日以降にします。みなさんの自由なご投稿を期待しています。設問の仕方自体が、誘導質問になってしまう可能性があるのですが、それをできるだけ避けて、みなさんのそれぞれの発想からのご投稿をおねがいします。   狐崎

結婚時期と人生設計

10年以上前に送り出した卒業生と同窓会で久しぶりに会った。学生時代に受けた印象とはうってかわって現役の社会人のたくましさを感じた。「家族は?」と聞くと「まだ一人です」という答えが何人もあった。ただ漫然と恋愛の機会が訪れるのではないかと待っているが、現実は仕事に忙しくて時間ばかりが過ぎていく、ということであろう。小学校から大学まで計画的に学業を積み重ねることと同じく、「結婚は人生で計画的に実行しなければならない最重要課題の一つ」である。30歳に結婚してすぐに子供が生まれたとして、子供が大学を卒業するのは50歳代前半となる。40歳に結婚したら60歳代まで子供の教育費用を稼ぎ出さなければならない。50歳代で幼児を抱えているカップルも知人に居る。
すでに子供3人の養育を終了したわが身は、60歳代半ばで孫の誕生を待っているが、なかなかである。現代の若者たちに、自分の人生で結婚について確かな計画を立て、次世代を担う子供たちをしっかり育てて欲しいと希望している。結婚にも、自ら考えた人生設計と、結婚相手を探す努力と、失敗を恐れずに求愛する勇気が必要である。

会社の品格の見分け方

今週授業で就職活動について質問を受けた。「先生、会社の良し悪しはどのように見分けるのですか?」。4年生の就職活動は終盤で、3年生に対する就職活動のセミナーが学内で開始されている。「通常は会社の経営に関する情報を調べたり、それからその会社に勤めている先輩を訪ねて話を聞くことだね。」「君が考える良い会社とはどんな会社を言っているかい?」学生ははっきりしたイメージを持っていないが、安心して仕事ができる会社を探したいらしい。「就職が決まった先輩になぜその会社を選んだかを質問したら、会社ビルの入り口が立派だったからという答えが返ってきたことがあったよ。」会社の良し悪し、つまり品格はビルのイメージよりは”人”である。
就職活動ではしばしば次のような話を聞く。学生は最初に内々定をある会社からもらって、それでも本命の会社の内々定の発表まではまだ時間がかかる。最初の会社は期限を切って、本人に「必ず就職するという約束をして先生の推薦書を持ってきなさい」と言う。学生は、本命の会社から内々定がもらえるかどうか分からないので、「どうしよう?」と悩む。学生には3種類のタイプがある。最初の内々定先に別の会社も就職活動中であることを告げる学生、最初の内々定先に就職を約束して本命に決まったら最初の会社に謝りに訪問する学生、最初の内々定先に就職を約束し本命が決まったらメールや電話でその旨伝える学生、である。
学生には次のように話したい。最初に内々定をもらった会社が期限を区切って就職の約束を迫ったら、「品格が高い会社」とは言えない。本命の就職活動をしていることを告げて、内々定を取り消されたら「品格の無い会社に勤めなくて良かった」と考えるのが正しい。

機銃掃射って知ってますか?

私が生まれた頃は第二次世界大戦中でした。東京が米軍の大空襲にさらされた頃です。両親は千葉に疎開しました。父は東京の会社に国鉄(省電?)総武線で通っていました。会社から帰宅する電車のなかで米軍戦闘機の機銃掃射にあいました。父はあわてて停止した電車の下に隠れたそうです。戦闘機は電車の線路に沿って飛行し、低空で列車めがけて機関銃を連射します。戦闘機がいなくなったと思って、電車の下から出ようとしたとき、父は隣の人が弾にあたって死んでいるのを見たそうです。
この話は私が小学生くらいのときに父から聞きました。その時父が被弾していたら、私は父無し子になって、満足な勉強もさせてもらえなかったかも知れません。戦争に負けた日本は、戦争に勝ったアメリカとほぼ対等の経済力をつけ豊かになりました。戦争に負けた恩恵で、日本はベトナムもイラクも経験せずに済んでいます。最近の憲法改正論議で、日本を代表するような大会社の幹部が、「日本のエネルギー石油を安全に確保するために憲法改正が必要なのだ」というようなことを発言しているのをテレビ番組で聞きました。「石油と父親のどちらが大切か?」と質問すれば「貧しくてもいい。父親が大切だ。」と皆答えると思います。「強い軍隊を持つことは不幸なことである」と第二次世界大戦後の米国の歴史が教えてくれています。

「青い地球を救う科学」(東京図書出版会、2007)

副題 エネルギーと身近な科学
こういう本を出しましたので、ぜひ読んでください。ごく一部の本屋にしか置いてないようなので、アマゾンなどのインタネット書店で購入してください。もちろん、お近くの本屋に注文しても入手できます。
この本は、最初の投稿に書いた考えのもとに、本当の科学とは、こういうものです、ということを分かりやすく書いています。埼玉県のある高校での特別授業の内容をもとに、すこし追加しましたので、高校生だけではなく、大学生の1,2年や高専のみなさんにも参考になると思います。amazon(インタネット書店)で書名で検索すれば出てきますが、それをさらにクリックすると、筆者(小生)が書いた14項目の特徴、おすすめのポイントが出てきます。
この本を簡単に紹介するために作った1ページのパンフレットをこの原稿に添付しますので、見てください。(この下線部分をクリックすると添付資料が出てきます。)また、校正の回数が少なくて、申し訳けないことにいくつかの誤りがありました。正誤表もこの原稿に添付します。(出版社に送ってあり、いまは正誤表を挟み込んでお届けしているはずです)角度の度と秒をまちがったりしていますが、本の趣旨に影響するような誤りはありません。

単にならったことをよく記憶するだけではなく、本質を把握して考える科学者がこれからますます重要になります。自然をよく観察し、自然をよく知った、そして科学的な考え方をする若いみなさんの力を大いに期待しています。

なお、難しい科学を解説するのにこういう方法もある、という点で、いますでに科学の分野におられるみなさんにもご参考になるかもしれません。いろいろな人がいろいろな言い方で自分の経験、考えを若い世代に伝えていくことが非常に大事だと思います。この言い方が大多数の若い皆さんに理解していただきやすいのかどうかは、今後の反応を見ないと分かりません。でも、若い皆さんも、みんな同じではなくて、それぞれに分かりやすい言い方があるでしょう。ですから、どのような言い方でも、それに受信感度の高い若い人が必ずいるはずです。われわれ経験者の側から言えば、みんなで、いろいろな言い方で若いひとに語りかけてみようではないですか、というのが小生の提案です。

落ち込んだとき

人生いろいろ経験する。はっきりした理由はないけれど、気分がのらないことがある。仕事はそれなりにこなしているが、「俺の人生はこのままでよいのだろうか?」と考える。20年以上前、日比谷公園の噴水の脇にぼんやり座っているときだった。今日のように5月の気持ちよい晴天だったと思う。昼休み時で周囲には楽しげに会話している多くの人が散歩していた。突然テレビカメラが近づいてきて質問された。「最近の若い人をどう思いますか?」その時は会社での出世が難しいと感じ始めていた時期だった。「次々に優秀な若い人が現れていますね」と答えたことを覚えている。
時に落ち込んでも良い。よく考える機会だ。日比谷公園に来ていた献血車を見て献血した。小さなことだけど自分は社会に役に立つことができる。ちっぽけでいいんだ。良いことをすれば、落ち込みから回復するきっかけになるかも知れない。

スコッチウイスキーのブランドビジネスから学ぶハイテク・ビジネス戦略

「ハイテク・ビジネスはローテクが決め手である」と考えています。
・ハイテク製品(プロダクト)とはローテクとハイテクのブレンドで作られる製品であり、ハイテク製品(プロダクト)をつくるハイテク・ブレンダーという考え方が重要になります。
・ローテクのブレンド含有量が多くなると、信頼性が高まり返品率と在庫率の低減を図れるとともに、低価格化を図れるという2つの効果が出てきます。
・従って、ビジネスの観点からは大半がローテク含有でスパイス代わりにハイテクがブレンドされるハイテク製品が市場導入には効果的であります。
・こんな話をスコッチウイスキーのブランドビジネスのアナロジーを使って、まとめた報告書が、「スコッチウイスキーのブランドビジネスから学ぶハイテク・ビジネス戦略」であります。
・原文が下記に出典されているので、議論のベースとして一読していただきたい。その上でコメントを頂きたい。お待ちしています。
1)http://www.mekikies.com/japanese/news/index.htm ●平成19年5月21日:更新
2)http://www.mekikies.com/japanese/news/high-tech_brand_s.pdf
3)http://www.mekikies.com/japanese/news/high-tech_brand.htm
・テーマをスコッチウイスキー関連にした理由は、「シングル・モルトウイスキーは10年経ってやっと製品になる(法律熟成は3年以上)」、「ハイテク・ブランドを発展させる人材育成・技術育成も同じ10年である」という着想からでした。
・ハイテクビジネスでは「何事もモノになるには10年の辛抱とその喜びが必要である」と思っています。

もっと多くのみなさんに科学を

もうだいぶ前から若いみなさんたちの「科学離れ」が話題になっています。
わが国がG7に入るほどの発展をとげているのは科学技術のおかげなのですが、これを将来にも続けていけるかどうかは、若いみなさんが科学技術に挑戦するかどうかにかかっています。わが国にはエネルギー源もほとんどありませんし、ほかの自然資源にも恵まれていません。外国から材料を輸入して、外国がぜひほしいと思うような製品にして(価値を付加して)輸出することが必要です。また、別の見方では、生活がよくなっていて、若いみなさんが挑戦するような対象がない、ということも言われていますが、科学の目で見てみると、そんなに安泰な状況ではなくて、いまから一生懸命に対策を考えて実施しなければ大変なことになってしまうかもしれない、という状況でもあります。地球の温暖化がそのひとつですし、石油などのエネルギー源の枯渇、そして世界の人口の急激な増加もあります。おそらく、この3つが世界全体に共通な3つの大問題でしょう。この困難に対処するのは科学技術しかありません。
さらにもうひとつの見方ですが、個人として考えたときに、科学技術はわれわれに大きな喜びを与えてくれるものである、という点もあります。人間の頭脳が、どういう事柄を喜びと感じるようにできているのか、いろいろな説もあり、将来にかけての大きな研究対象でもあります。が、いままで未知だったことを知ることに大きな喜びを感じることは確かです。ボイジャー宇宙探査機やハッブル望遠鏡の写真を見て感激するのはそのためです。あんな宇宙の遠くの様子が詳しく分かったって自分の生活にはなんのいいこともないのに、どうしてうれしいのでしょうか。同じように、世界のだれもまだ見たことのない自然の振る舞いを自分が最初に見ることができたら、それがどんなに小さなことであっても、それ以上のよろこびはないでしょう。巨額なお金も、社会での偉い地位も、比較になりません。そういう純粋なよろこびを得ることを目的にして科学技術の世界に進むこともいいことだと思います。学者といわれる人々の多くは、そういう純粋な目的こそが本物だと言うでしょう。(工学部出身の筆者としては、上記のいくつかの目的のどれでも上下はないと思います。社会をよくするためということだって崇高なことです。)

硬いことを書いてきましたが、このようなことを考えつつ、いままでよりも幅広いみなさんに科学に親しんでいただくように、そして、すでに科学の世界におられる方には、時間を見つけて、自分の分野の外にいるひとびとに科学に親しんでもらうように工夫していただきたい、という趣旨で、考えたことをいろいろ書いていきたいと思います。

たまたま、このページを開いたみなさんが、ご自分でも考えられたことを投稿してくださることを期待しています。

よろしくおねがいします。   狐崎(めずらしい苗字です。盛岡付近のもののようです。まだ親戚しか会ったことはありませんが、インタネットで調べると親戚以外の狐崎さんもけっこうおられます。そのうちのお一人とメールを交換しましたが、そのかたも東北出身のかたで、もしかする遠い先祖が共通かもしれません。)

就職活動と卒論のどちらが大切か?

5月連休もとうに過ぎ去り、企業から内々定をもらった学生も増えてきた。この時期、企業から内々定をもらえない学生はあせっている。卒業研究はサボり、「就職活動です」、「先輩訪問です」、と全く学校に来ない学生がいる。そのような学生に「卒業研究より就職活動が大切なら企業から単位をもらいなさい」とメールを打ち、「今後研究室出入りは禁止です。卒業研究の単位は出しません」と通知した。
「卒業研究がありますので、就職面接の日程を変更していただけませんか?」と企業の担当者に相談することのできる学生であれば、企業から信用されよう。もし企業側が、「卒業研究があっても、面接の日程を変更することはできません」と回答するのであれば、そのような企業には就職しないほうが懸命である。判断力のある優秀な学生は要らないと返事しているのに相当する。「大学を卒業できなくても、内々定どおり就職できますよ」と説明する企業は無いはずだ。